不動産業界の謎
最近引っ越しを考えていて、気になった物件が掲載されたらすぐに不動産会社とコンタクトを取って内見しています。かれこれ5社くらい尋ねていて、これまでそれなりの数の部屋をご提案して頂きました。そんなに見ててなぜ成約できていないかというと、僕の条件(こだわり)が強いという事に加え、賃貸契約はスピード勝負だからだと思います。実際に内見して「ここにしようかな」と思った物件はいくつかあるのですが、どれも僕が迷っているうちに成約となってしまいました。また、内見の当日になって「すみません、他の方が契約してしまいました」というオチもこの短期間で何回も経験しました。人の移動が激しい都会ではそんなもんだよな、と思い知らされたのと同時に、お部屋探しにあたっていくつかの疑問も生じました。そこで、引っ越しは誰もが経験することなので、僕の疑問が今後部屋探しをする際に何らかの形で役立てばと思い、この記事を書いています。(解決していないからこそ疑問が残っている訳なので、役にたたないかもしれませんが笑)
謎① 礼金ってなに?
引っ越しはとにかく初期費用が高くなりがちです。部屋探しの際はついつい家賃に目が向きがちですが、初期費用の見積もりを出して頂くと想像以上に初期費用がかかる、なんてこともあるかと思います。何にそんなにお金がかかっているんだろう?とよくよく詳細を確認したところ、礼金に家賃1か月分も取られているのです。最近では礼金を取らないとこも増えている、とネットには書かれていますが、それでもほとんどの物件で礼金は必須項目となっています。担当の営業マンに「礼金て何ですか?」と聞くと、「うまく説明できないのですが、古くからの慣習みたいなもので、部屋を貸してもらってる大家さんへの感謝の気持ちとして払うようなものです。」と皆さん口をそろえて答えます。消費者契約法では、対価のない契約を原則禁じています。「うまく説明できない」ようなものに家賃一か月分もの金額を支払う必要性は当然ながらありませんし、大家さんには当然感謝していますが、契約で毎月ちゃんと家賃を支払うのだから(しかもそれなりの金額)、それ以上の請求は過剰でしょう。仮に感謝の気持ちとしてお金を払うのであれば、それは利用者側の自発的な行動であるべきでしょう。かといって「礼金を払う必要性はないので払いたくありません」とバカ正直に訴えたところで、目の前の営業マンからは「じゃあ他の物件を探すしかないですね。礼金なしのところもあるので」と言われるのがオチでしょう。
謎② 保証会社、連帯保証人問題
賃貸契約の際、ほとんどの物件で保証会社を利用するか、連帯保証人をたてる必要があります。一体なにを「保証」しているのかというと、毎月大家に支払われる家賃を保証しています。保証会社のおかげで、万が一賃貸人が家賃を滞納しても、大家には保証会社から家賃が振り込まれます。そして、当然ながら保証会社から賃貸人には滞納分の請求がきます。借りる側としては、滞納するはずがないにも関わらず保証会社にお金を払うのは気持ちのいいものではありません。そこで、物件によっては保証会社ではなく、連帯保証人をたてることもできるようです(少数派ですが)。しかし、この連帯保証人もなんだか釈然としません。たてるとしたらほとんどのケースが親になると思います。立派な成人が、いつか家賃を滞納するかもしれないというリスクのためにわざわざ親に連帯保証人になってもらうなんて、どれだけ個人として信用されていないんだ、といった感じです。契約前に職場も、「正社員」かどうかも確認されます。それでも信用できないのであれば、過去のクレジットカードの返済履歴を確認してほしいくらいです。ここで滞納の履歴がある人にだけ保証会社の利用を求める方が納得がいきます。
謎③ 急遽他の契約が決まってしまいました多すぎ問題
ある日、こんな出来事がありました。その日は10時からある物件の内見予定で一度不動産会社に行ってから、現場に一緒に行くという流れのはずでした。自宅からは少し距離があるため、9時過ぎには自宅を出ていました。すると、9時半ごろに担当の営業マンから電話で「すみません、つい先ほど他のお客様が入居をきめてしまいました。内見は出来なくなりましたが、代わりに他の物件を提案させて頂きますので、問題なければそのままお越しくださいませ」と言われました。私は内見がしたかったので、もっと早く言われていれば不動産会社には行ってなかったと思います。ただ、営業マン曰く「ついさきほど」らしいので、まあ仕方ないかと思い、そのまま不動産会社に向かいました(電話をうけた時点で自宅からだいぶ離れていたので)。
しかし、これと全く同じ出来事が他の不動産会社でも発生しました。さすがにおかしいんじゃないかと思い、不動産会社に勤務している友人に「内見当日になって他の契約が入ることってあるあるなの?」と聞いてみました。すると、「人気の物件ならあり得るけど、そんなに頻発するものではないと思う。悪い会社だと本当はもう売りに出てないのにそのまま掲載して問合せを受けて、来店当日にその物件はもう契約されてしまったと伝えて他の物件を営業しにかかるとこもある。フィッシングみたいなもん。」と言われました。そして、畳みかけるように「不動産の営業マンの給与体系の関係で、とにかく何でもいいから契約とって個人のインセンティブを稼ごうとするやつもいる。」とも言われました。確かに、不動産業界は歩合率が高いことで有名です。働き手にとってはやりがいにつながるでしょうが、そのために顧客の不当な契約が増えている可能性も否定できません(当然、しっかり顧客に合った提案をするまっとうな営業マンもいると思います)。これは歩合率の高い業界の常なのかもしれません。なぜ歩合率が高いのかといえば、動く金額が高額だからです。そのことは証券会社や保険会社の歩合率が高いことを見れば明らかでしょう。
ここまで僕が素朴に感じた疑問を述べてきましたが、これは決して個人(ある営業マン)を批判するものではなく、そもそもの業界全体の構造に対しての批判です。大家から「礼金、保証会社利用は必須」と言われれば、それらを必須事項として契約書に記載するでしょうし、その人に合った物件かどうかに関係なく契約数が多ければ多いほど評価され、それが収入UPにつながるのであれば、営業マン個人としては契約数重視の営業スタイルをとるのも至極当然のことに思えます。また、そもそも私の批判が的外れという可能性もあるでしょう。その際は納得のいくようなご指摘を頂ければ大変助かります。
不動産に限らず、情報の非対称性によって顧客が不当に不利益を被る可能性は日常に多く潜んでいます。私の意見としては日常利用のものなのに、「不当なものをよく説明もしないで提供するのはいかがなものか?」と思いますが、「知らずに利用したお前が悪い」と自己責任論に片づけられがちな世の中においては、ある程度は自分の身は自分で守る意識が必要なのかもしれません。
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