(交換日記)コーヒーの香りと旅の非日常性について

最近よく思うことがあります。 


カフェのテラス席でサンドイッチを食べながらコーヒーを飲んでいる時。 


テラス席に面した、それほど交通量の多くない2車線の道路を何台かの車が通り抜けて行く。 

向こうからやってくる車の運転席に座る女性が、僕の方を見つめています。もちろん彼女は運転中なので、時折前方の車間距離を気にしながら、それでも僕の方をしっかりと見つめてくるのです。僕は彼女に見覚えがないかと言われたら、素直にうなづく事はできないほど、ぼんやりとフロントガラス越しに彼女の顔の様子を捉えようとするのだけど、やはり僕は彼女に見覚えはありません。そもそも、18歳になった頃に、一生のうちに出会う全ての顔と出会っているという話を昔友人に聞かされたことがあり、そう考えると、26歳になった僕がみる顔は、総じて誰かに似ているということになるので、やはり僕は彼女に見覚えがあるのかもしれない。 


時間にして、約5秒をゆっくりと数えるくらいの時間で彼女は僕の視界から消えて行きます。 もしかしたら、あの人は僕の知り合いだったのだろうか、と考え始めてから、その出来事を忘れるまでの時間。 僕はこの時間が、ちょうどコーヒーを一杯淹れるのと同じ時間だと思っています。 


ただそれだけのことです。 


ただそれだけのことが、日常には溢れている。 


そして、その一つ一つが微妙に交差しながら、微妙に溶け合いながら、日常という現実を作り出している。 


毎朝淹れるコーヒーの香りを感じる時、僕は日常と非日常のちょうど境界にいるのかもしれないと思い、ゆっくり深呼吸をして、大まかなモーニングルーティーンをこなしながら、現実へと目覚めて行くのです。 


旅がしたいなと強く思います。 

目が覚めても、コーヒーの香りを感じても、そこはまだ異国の地であって、 これからどんな人に出会うのかも、どんな景色に感動して、そして同時に自分のちっぽけさに絶望するのかも、まるで予想がつかない、そんな旅がしたいなと、強く思います。 


コーヒーの香りと、旅の非日常性について。 


季節の流れの速さについて行くのが、やっとなのです。 


でもそれは、現実の中でのお話。 


このオンラインシェハウスの中では、現実と非現実が絶妙に溶け合っていると思います。 それは、僕たち住人がそれぞれの土地で、それぞれの人生を歩んでいて、僕にとってそれは、友人の確かな旅の記憶なのです。この繋がりが消えてほしくないと、思っています。 


Kaede Apartmentは10月で、1年半の節目を迎えました。 


皆さん、季節の変わり目に風邪など引かぬよう、どうかご自愛ください。

Ryosuke Takahashi

オンラインシェアハウス Kaede Apartmentの管理人です。
95年 北海道生まれ、道南在住
趣味は、旅、映画鑑賞、読書、カフェ巡り

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