和訳① "Christmas lights" Coldplay
中学英語で大体の洋楽の意味がわかる。
というのをテーマに英語部屋をKaede Apartmentに作りたいなぁと思いながら1ヶ月が過ぎました。
何かを待っているのでは、すでに機会を逃しているようなもので、頭の中にあるうちは、なんであっても名作で、誰であろうと芥川賞を獲得できるような気分になるものです。
ハロウィンが終わると一気にクリスマスのシーズンがやってきます。
今年は、どこか控えめに思える街のクリスマスの飾りを見るたびに、数年前にヨーロッパで過ごしたクリスマスを思い出します。やはりキリスト教が歴史的にも、文化的にも、その骨の髄まで染み込んでいるヨーロッパ圏では、クリスマスの雰囲気の本気度は違うわけで、急に「神の御加護を」と言われてもピンとこないように、我々日本人にとっては、Merry Christmasと言う言葉すら、文化の違いなんじゃないかと思えたのを思い出します。
今日はイギリスのバンドColdplayのクリスマスソング、Christmas Lightsという曲を和訳したいと思います。
後半から、三拍子に変わるこの曲の、
When you’re still waiting for snow to fall, doesn’t feel like Christmas at all
「雪が降るのを待っている時、クリスマスの気分にはなれそうもない」
という歌詞の意味を考えなければ、この曲の深さがよくわからないと思います。
「雪が降るのを待っている時、クリスマスの気分にはなれそうもない」つまり、「雪が降らないと、クリスマスだなんて思えない。」と言うことは、この曲の主人公は雪が降るのを心待ちにしているんだ、と言うところまではなんとなくわかりますが、実はそれ以上に深い意味が含まれているのだと、僕は思います。
それには、この曲の舞台である、ロンドン(歌詞中にOxford Streetというロンドンの通りの名前が出てくることから、この曲の舞台がロンドンであるということがわかります。)では、クリスマスの時期に雪が降るというのは、実はとても珍しいことだということも知っておかなければなりません。東京に雪が降るのと同じようなイメージです。
さぁでは、訳して行きましょう。
Christmas night, another fight
Tears we cried a flood
Got all kinds of poison in Poison in my blood
クリスマスの夜、君とまた喧嘩をした
僕たちの流した涙が溢れてきて
僕たちがお互いに言い合った悪い言葉と一緒に 毒となって僕の体を流れているんだ
I took my feet To *Oxford Street
Trying to right a wrong
Just walk away
Those windows say But I can't believe she's gone
オックスフォードストリートまで散歩をして
間違いを正そうとしているけど
通りのショーウインドウは「どこかへ行け」と僕を受け入れてくれない
君が出て行ってしまったなんて、今も信じられずにいるんだ
When you're still waiting for the snow to fall
Doesn't really feel like Christmas at all
雪が降るのを待っているなら、クリスマスの気分になんてなれそうもない
Up above candles on air flicker
Oh they flicker and they *float
But I'm up here holding on
To all those chandeliers of hope
頭の上にはキャンドルが揺れていて、 輝きながら浮いているんだ
僕はそんな希望に満ちたシャンデリアにしがみついている
Like some drunken Elvis singing
I go singing out of tune
Saying how I always loved you darling
And I always will
誰かが歌うエルビスプレスリーの曲のように
僕も音程を外しながら歌うんだ
どれだけ君を愛していたか歌うんだ
これからもずっと君を愛し続けると
Oh when you're still waiting for the snow to fall
Doesn't really feel like Christmas at all
Still waiting for the snow to fall
It doesn't really feel like Christmas at all
雪が降るのを待っているなら、クリスマスの気分になんてなれそうもない
何かが起こるのを待っているだけなら、もうその瞬間を逃しているようなものだ
Those Christmas lights Light up the street
*Down where the sea and city meet
May all your troubles soon be gone
Oh Christmas lights keep shining on
クリスマスの明かりが通りを照らしている
この街中を全て照らしているようだ
君の抱える問題が早く解決することを願うよ
クリスマスの明かりよ、照らし続けてくれ
Those Christmas lights Light up the street
Maybe they'll bring her back to me
Then all my troubles will be gone
Oh Christmas lights keep shining on
クリスマスの明かりが通りを照らしている
その明かりが彼女を僕の元に戻してくれるなら
僕の抱える問題も全て解決するのに
クリスマスの明かりよ、照らし続けてくれ
Oh Christmas lights Light up the street
Light up the fireworks in me
May all your troubles soon be gone
Oh Christmas lights keep shining on
クリスマスの明かりが通りを照らしている
僕の中を明るく照らしてくれている
君の抱える問題がすぐに解決することを願っているよ
この明かりがずっと消えないように、願っている
*1 Oxford Street
オックスフォードストリートはロンドンの中心部を東西に横切り、大きな買い物通りです。 古いデパートから、高級ブランドのお店や、お土産物屋さんが並ぶ通りで、毎日観光客や地元の人で賑わっています。
*2 float
浮いているという意味ですが、ロンドンのクリスマスの装飾は、Oxford StreetやRegents Streetの上から、電飾や飾りをぶら下げて、文字通り、浮いているような装飾をします。日本で言う鯉のぼりのような状態です。大きな通りの頭上には、たくさんの装飾が落ちてくるか心配になるほど、キラキラと輝いているのです。
*3 down where the sea and city meet
直訳すると、海と街が出会うところまで、という意味になりますが、これは、街の端から端まで、街中を照らしているように主人公が感じたのでしょう。 ちなみに、この歌詞は前文のLight up the streetのstreetとdown where the sea and city meetのmeetで、韻を踏んでいます。
クリスマスの夜に恋人と喧嘩をして、別れた主人公が、ロンドンのOxford Streetで1人街を歩いている時の情景を描いた曲になっています。
Chorus部分で繰り返される When you’re waiting for snow to fall Doesn’t feel like Christmas at all ですが、これは、雪が降ることが珍しいロンドンで、雪が降ったならもっと素晴らしいクリスマスになるだろうに、と主人公が思っているというのもありますが、 ここは、何かが起きるのを待っていても、その瞬間を逃しているのと同じことだ。と訳しました。
ロンドンでクリスマスに雪が降るのは、奇跡と言ってもいいようなことです。 奇跡が起こらないと、クリスマスではないと思っていながら、本人はクリスマスがすでに終わってしまった街を1人で歩いています。
恋人と喧嘩をして、彼女を失ってしまった後悔と、自分のやるせない思いをこめているのだと思います。 何かをただ待っているのではなく、自分から行動しなければ何も変わらない。だって、奇跡なんて滅多に起こらないのだから。 そう思って、きっとこの曲が終わった頃、彼は別れた恋人の元へ走り出すのでしょう。
この曲は四拍子で始まりますが、2番のChorusが終わった後、三拍子に変わります。
まさに、「何かを待っているだけなら、何もしないのと変わらない」と主人公が自分に言い聞かせた後、曲のリズムは大きく変わり、 その後、主人公は全く違った視点から、2人を客観的に見つめています。 君がいないとダメなんだ。と自分に言い聞かせるように、そして、ロンドンの街中を照らすクリスマスの明かりに救われたように、彼女のことを想って、彼は歩き出すのです。
クリスマスの夜は、なんだか全てが奇跡のように思えます。
大切な人を想って1人過ごす夜、
大切な人と2人で過ごす夜、
家族と静かに語る夜、
そのどれもが奇跡のように輝いているように感じます。
しかし、そんな噛み締めるような幸せと同時に、恋人たちが足早に自分の横を通り過ぎた後の静けさのような、夜の明かりが、少しだけ、浮き足立った自分と向き合う静かな時間をくれます。そんな時に、本当に大切な人は誰なのか、自分がその人にできることは何なのか、その人を失ってしまう怖さを同時に感じるものです。
そんな風に、考えを巡らせることができる時間を与えてくれる。
やっぱり、人によって形は違えど、神様っているのかもしれません。
Oxford Streetから南に伸びるCarnaby Streetでお互いに買ったプレゼントを見せ合う2人。2018年12月撮影。
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