そのために生まれてきたんだ
私は映画や本が大好きだ。唐突で申し訳ない。令和時代において道で通りすがりの人に対して急に「俺港区のタワマンに住んでんだよ!」と言っても「本当に!?私タワマン大好きぃ!」と言ってハイタッチすることにはならないことくらい私も知っている。NYでも厳しいんじゃないだろうか。
でも私はあえて言いたい。映画や本が好きだと。頼んでもいないのに脱ぎ始める露出狂のような奴だと思われても構わない。「人は皆生まれたときは露出狂である」と言ったのはかの有名なイニゴ・ドストエフスキーであるというのは真っ赤な嘘だしそもそもドストエフスキーの名はイニゴではなくフョードルだ。少しでも信じかけた人は要注意だ。
人に頼まれたことをするのは楽だ。難しいことは考えずに、言われた通りにしていれば波風は立たない。万が一何か文句をつけられた際には「だって〇〇さんが言ったから」と言えば厄介なことにはならずに済む。
では、人に頼まれてもいないことをする場合はどうだろうか。「なんでそんなことするんだ!」とヤジを飛ばされるかもしれない。寧ろヤジが飛んでくるだけまだマシで、誰も何の反応も示してくれないかもしれない。反応どころか存在に気づいてすらいないかもしれない。
それでも私は続けるだろうか。誰にも頼まれていないことを自ら勝手に始め、とうとうそれが世界中の誰からも必要とされていないと判明したとき、そこにはどんな恐怖、絶望が待ち受けているだろうか。分からないアイツらが悪いんだ!生まれてきた時代を間違えただけだ!あの金正恩は偽物だ!いつかきっと、いつかきっと、分かってくれるだろう、明日がある、明日がある、明日があるさ、とでも言うだろうか。
某テレビ番組に歌手のスガシカオさんが出演していた。一人のファンがスガさんにとある質問をし、それに対するスガさんの回答がとても印象に残っている。
ファン 「スガさんも30代前半までごく普通にサラリーマンをされて、そのあとに歌手になられましたよね。僕も会社勤めをしながらミュージシャンを目指しているのですが、今からでも遅くないでしょうか?」
私の予想は「遅すぎるなんてありません。いつでも今が一番若いし、頑張っていれば、諦めなければ必ず夢は叶います。」なんて当たり障りのないことを答えるのだろうと思った。が、予想は大きく外れた。
スガさん 「どうでしょうね。プロというのは、なろうと思ってなれるものでもなくて、周りからなれ!と言われてなるものだと思うんですよね。」
会場の空気が一変したのがテレビ画面越しでも伝わってきた。
スガさん 「自分にどんなことができるのか発信することは大切です。でもその上でそれを見た人聞いた人知った人がプロにするかどうか決めるわけです。プロになる人は否応なしになるべくしてなります。だから、自分がどういう人間か発信した上で、周りからそういう声がなければ、それは無理だということです。」
ファンへの受け答えにしてはとてもヘビーな意見だと思った。と同時にそれが世界のリアルなのだろうとも思った。
ここには私が実際に見て、聞いて、体験した上で本当にいいと思ったものを書いていこうと思う。映画や本は勿論、日常生活の中で「これには価値があり、まだ知らない人も多くいるかもしれないから是非シェアしたい。」と感じたものはどんどんここに載せていきたいと思う。
内容が面白くなければ読んでくれる人は次第に減っていくだろう。当然ながら、面白ければ読んでくれる人は増えていくだろう。マーケットは忖度してくれない。常に正直だ。
そして、何か自分で発信しようと思うとき、スガシカオさんのあきれるほどに厳しいお言葉が、震えるこの胸Lion Heartにいつもよぎり、私にこう決心させるのであった。
「露出狂になるため、そのために生まれてきたんだ。」
by Soichiro
ステイホーム中の定位置
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